健康診断の結果では異常はなく、全くの健康体。しかし、食事を摂った後に猛烈な眠気に襲われ、起きていられなくなるようなことはありませんか?しばらくすれば落ち着くが、ひどい時はその眠気の後にめまいや血の気が引くような気持ち悪さに至るような場合、それはもしかすると食後高血糖や反応性低血糖を起こしているかもしれません。
- 食事内容や食べ方によって高血糖を起こしている可能性がある
- 高血糖を起こしているかどうかを調べるには?
- 高血糖を放置し続けるとどうなるのか
- 高血糖の後の反応性低血糖まで起こす場合には注意が必要
- 食事内容を変えたいが言い出しにくい場合
- 【食事で抑制】1食に1品追加する
- 【食事で抑制】調理が難しい場合は市販品を追加
- 【運動で抑制する】空腹時の食前に軽い運動も有効
- 食事の摂り方・食べ方に気を付ける
- 食材変更が可能であればもち麦や全粒粉を選択
食事内容や食べ方によって高血糖を起こしている可能性がある
朝忙しくて時間がないからと、パンだけ、おにぎりだけ、うどんだけ、などの「炭水化物(糖質)単品」の食事を摂っている場合、高血糖を起こしやすい可能性があると考えられます。食べてすぐに動いて代謝すれば、高血糖を起こしにくくなりますが、炭水化物だけを単品でたくさん量を摂り過ぎたりすると起こしやすくなります。
また、果物だけの場合でも高血糖を起こしやすくなりますが、パンや白米や麺などのでんぷん質主体の糖質とは異なり、果糖はフルクトースという単糖類になるため、高血糖になっても比較的消費されやすい糖質で、活動が始まればすぐに消費の方に回り、血糖値が上がっても、運動などで代謝が始まれば下がりやすい食材だといえます。
しかし、炭水化物の主な栄養素であるでんぷん質主体の多糖類は、消費するまでに一旦単糖にまで分解されないと使えないため、パンや白米や麺で高血糖を起こした場合、すぐに血糖は下がりにくいといえる食材です。
そのため1食を炭水化物単品で摂っている人は、いろいろな食材を組み合わせて食べている人に比べて高血糖を起こしやすい状態だといえます。
また、
①よく噛まずに短時間で食べ終わってしまう早食いの人
②1度にたくさん食べてしまう大食いしてしまう人
③お腹いっぱいはちきれそうになるまで食べないと満足出来ない人
④遅い夕食や食事と一緒にアルコールを飲み、食べた後にすぐに寝てしまう人
も、高血糖になりやすい食べ方といえます。
高血糖を起こしているかどうかを調べるには?
やはり、体感だけで判断するのは難しいと思われます。頻繁に高血糖を起こしていそうな自覚がある場合は、ぜひ医師の診療を受けていただきたいと思います。その上で、検査を行うか、私のように計測器を装着して調べるか、相談して頂けたらと思います。
上記の写真は私が食後高血糖を起こしていた頃の糖濃度のグラフです。今は改善しましたが、お昼12時から食べだした後、13:00頃に糖濃度はピークになり、食後約60分後には200近くまで上昇しています。(※私は非糖尿病人です)
そして上昇した血糖値が再び空腹時血糖値(ブルーの帯は80-140で設定されています)に戻るのに、16:00までかかっており、食べ始めから4時間後、食後から3時半もかかっています。
当時は糖質制限を止めた直後で、耐糖能低下の状態で少量の糖質を摂取してもこのような高血糖状態を頻繁に起こしていました。食後は仕事で事務室内を動き回っていましたので、猛烈な眠気に襲われることはありませんでしたが、休みの日で自宅にいるときは、眠くて眠くて座ってられずに横になってしまうような状態でした。
更に急激な高血糖を起こした後は、反応性低血糖も度々起こしていました。200を超えるような高血糖を起こしたときには、大量のインスリン分泌を起こし、血糖が急降下。空腹時血糖値である80ラインを大幅に下回るような、低血糖を起こしていました。反応性低血糖(機能性低血糖)と呼ばれる状態です。
私の場合は主治医の元、フリースタイルリブレを着けて計測していたので、実際にどのくらいの血糖値の上昇・降下があるのかどうかを知ることが出来ました。
実際にはやはり、血糖値の計測をしてみなければ、具体的な状態を知ることは難しいかと思われます。
高血糖を放置し続けるとどうなるのか
高血糖に至っても、基礎代謝を落とさないようにし、日常の中での運動負荷を維持して上がった血糖をすみやかに消費するようにすれば、さほど気にすることはありません。
食べ過ぎていない普通の食事量を摂った食後2時間後、もしくはちょっと多く食べ過ぎた時の食後3時間後に、空腹時血糖値に戻っていれば、特に気にすることはないかと思われますが、戻っていないようであれば「食後高血糖」の状態であり、隠れ糖尿病や境界型糖尿病の予備軍となる恐れがあるといわれています。
食後高血糖 | 検索結果: | e-ヘルスネット(厚生労働省)
高血糖を消費しないままでいると、中性脂肪や内臓脂肪、皮下脂肪などに変換して溜め込む可能性があります。つまり、肥満につながる可能性があるということになります。
高血糖の後の反応性低血糖まで起こす場合には注意が必要
食事で上がった血糖は、基礎代謝や運動で消費しない分は、グリコーゲンなどに変換して骨格筋や肝臓などに貯められますが、それ以外の分については、膵臓から分泌されるインスリンというホルモンによって下げられます。高血糖を起こせば、インスリンもたくさん必要になるため、膵臓はどんどんインスリンを作らなければならなくなります。
高血糖になるとインスリンを分泌させますが、そのコントロールが上手く出来なくなった時にインスリンが出過ぎてしまい、逆に血糖を下げ過ぎてしまうことがあります。それが「反応性低血糖」(機能性低血糖とも呼ばれます)です。
高血糖は眠気をうったえる方が多くおられますが、低血糖については同じように眠気が続く人の他に、めまいを起こしたり、血の気が引いた様になったり、震えや寒気を感じたり、中にはブラックアウトを起こすなど、意識障害を起こす方もおられます。
(私は低血糖を起こして気を失って駅のホームで倒れ、線路に落ちかけたことや、ショッピングモール内の飲食店内で倒れ、救護室で休ませてもらったことがあります)
長く低血糖状態が続けば脳に影響が出るとも言われており、大変怖い危険な症状です。
このような高血糖からの大量のインスリン分泌状態を長年繰り返していれば、膵臓が疲弊し、次第にインスリンが作れなくなる可能性があります。インスリンが作れなくなる=インスリンが出なくなる、それは「糖尿病」になることを意味します。
食事内容を変えたいが言い出しにくい場合
食費内容を変えてみたいと思っても、作る側の人であれば問題なく今日・明日にでも変えることは可能ですが、逆に作ってもらっている側の人であれば、なかなかそうはいかないこともあります。
①親に作ってもらっている
②パートナーに作ってもらってる
③寮などに入っている
などの場合は、食事の摂り方を変えることは出来ても、作ってもらっている食事内容や献立などを変えてもらうことはなかなか難しい場合があります。
そのような場合でも、ちょっと一工夫することで、高血糖を抑制する食事にアレンジすることが可能です。
【食事で抑制】1食に1品追加する
調理が可能であるならば、サラダやおひたし、蒸し野菜や豆腐料理、卵料理などを1品追加するという方法があります。主食のパン・ごはん・麺の量を2-3割程度減らし、その分もう1品追加します。
作ってもらっている料理自体を変えてもらうことは言い出しにくくても、1品追加するということであれば、比較的受け入れて貰いやすいかと思います。ぜひ「一緒に食べよう」と、自ら率先して調理してみて欲しいと思います。
おすすめなのは野菜や豆類の食物繊維が豊富なものや、豆腐や卵などのタンパク質が豊富なものがおすすめです。
「朝、忙しくてサラダを作っている時間がない!」という方でも、夜にサラダを作って、1人分ずつタッパーなどに取り分け、冷蔵庫に入れておけばすぐに食べられ、時間短縮出来ます。
「それでも時間がない!」という方には、スープがおすすめです。前夜から仕込んでおけば、朝は支度しながら温めるだけでOKです。野菜たっぷり具沢山にして、大鍋でたくさん作って置けば、味替えなどしながら数日間美味しく食べることが出来ます。和風・洋風にアレンジすれば、パン食でもご飯食、どちらにでも合わせられます。
休日など時間のある時は、野菜をたくさん挟んだサンドウィッチや、パンの上に沢山具材を乗せたオープンサンドやスモ―ブロ―などがおすすめです。具沢山のサンドウィッチ、お昼のお弁当にもおすすめです。
【食事で抑制】調理が難しい場合は市販品を追加
調理が難しい場合は、市販品を1品足すことでも高血糖の抑制が可能です。和食でご飯を食べる際に、市販のパックの納豆や温泉卵、カップのもずくやメカブなどの海藻類を1品追加するのもおすすめです。フリーズドライの具沢山インスタント味噌汁も、手軽に食物繊維をプラスすることが出来ます。
パンにコーヒーでは抑制が難しいので、牛乳や豆乳、野菜ジュースやトマトジュースをプラスするのもおすすめです。カップのヨーグルトも良いかと思います。
但し、野菜ジュースやヨーグルトをプラスする際は、加糖されていないものを選ぶようにしてください。加糖されていると高血糖を助長してしまう場合もありますので、注意してください。
【運動で抑制する】空腹時の食前に軽い運動も有効
食事前の空腹時に軽い運動を行うことも高血糖抑制に効果があります。但し、空腹時ですので、激しい運動や強い運動負荷、長時間の運動は避けます。
糖エネルギー切れを起こすほどの強い運動を行ってしまうと、緊急エネルギーである脂質代謝に切り替わってしまい、次に食事を摂った際に急激な糖の吸収が起こってしまい、高血糖を起こす可能性が高くなってしまいますので、ここでは「肝臓や骨格筋内の溜められているグリコーゲンだけを使うイメージ」での、短時間の軽い運動が有効かと思います。先に溜めているグリコーゲンを使って置くと、後に食事した際、空になったグリコーゲンを溜める方に糖が使われるということで、高血糖抑制できるだろうという想定です。
但し、これについては筋肉量や運動負荷の度合いなどの個人差がありますので、全ての方に同じ効果が表れるとは限りませんので、参考程度としてください。
(私の場合、フリースタイルリブレを装着して計測した結果、高血糖抑制に効果がありました)
犬の散歩などの30分程度の軽いウォーキングや、ラジオ体操やストレッチ程度の軽い運動が有効かと思われます。しんどさを感じた際にはすぐに中止してください。
食事の摂り方・食べ方に気を付ける
比較的取り組みやすいのが、食事の摂り方・食べ方を変えることです。お勤めの方だと難しい場合もありますが、食べ方を変えることはそんなに難しくないかと思います。
食べ方としては
①炭水化物の単品メニューは避けて、野菜やたんぱく質などを含む定食を選ぶ
②食べ順に気を付け、食物繊維類から食べ始め、糖質の多いものは後半に食べる
③ゆっくりよく噛んで食べる・早食いしないように
④先に汁物などを摂り、満腹感を感じやすい工夫をして大食いを避ける
⑤柔らかいものだけでなく、硬い噛みごたえのある食材も取り入れた献立にする
などが有効かと思われます。
また、摂り方としては
①分食を行う(1食を2回に分ける)
残業などで夕食が遅い場合は、早い時間に少し簡易食や携行食などを食べ、
帰宅後の夕食は夕方に食べた分を差し引いた量だけ食べるようにします。
②補食を行う(空腹時感を長く空けないようにする)
食事と食事の間が空き過ぎると、次の食事の際に急激な糖吸収が起こり、
高血糖を起こす場合があります。それを避けるため、8時間以上食間が空く
場合は、軽く補食(糖質の少ないものや、飴やチョコレート数個程度)を
行うと、後の食事の際の急激な糖吸収による高血糖を防ぐことが出来ます。
食材変更が可能であればもち麦や全粒粉を選択
今食べている主食の食材変更が可能であれば、小麦のみのパンを全粒粉パンやライ麦パンにチェンジしたり、白米だけで食べていたのを玄米にしたり、もち麦や雑穀をプラスするなど、食物繊維が豊富な未精製食材で作られたものに一部を置き換えたり、摂取頻度を増やしてみるだけでも、消化吸収の速度をゆっくりにし、高血糖抑制につながります。パスタの乾麺やパンケーキミックス粉などでも全粒粉タイプがありますので、よく使われる方は食材をチェンジしても効果があると思います。
※こちらの記事につきましては、私自身がフリースタイルリブレを装着し記録した経験によるもので、全ての方に同じ効果がえられることを保証するものではありません。基礎疾患のある方や持病等ある方、体調不良を感じられる方につきましては、必ず医師の指導の元、食事指導・運動指導を受けていただきますようお願いします。